今、再び脚光を浴びているREDWINGブーツについて簡単に歴史探訪
アメカジが好きな人なら必ず知っているブーツブランドと言えばレッドウィング。創業者のチャールズ・べックマン氏によって1905年ミネソタ州のレッドウィングにてREDWING SHOE COMPANYを立ち上げたのがその歴史の始まりです。実に110年以上の歴史を持つレッドウィングは現在に至るまで数々の名作を生み出しています。そんな長い歴史を持つレッドウィングのブーツをタグで年代判別することについてつづっていきたいと思います。
タグの種類と年代
70年代以前のアイリッシュセッターを含むヴィンテージレッドウィングは、シャフトの内側に製造年とスタイル番号の刻印があり、80年代以降の製品の多くは、シャフトの外側上部やタンの表側に、製造年やスタイル番号が刻印されています。 デッドストック品などは刻印も残っているため見やすくなっておりますが、手にする多くは中古品が一般的かと思います。当時の刻印はやはり年数の経過、着用によってどんどん見えにくく基本的に消えかけていることがほとんどです。そこで、刻印とは別に取り付けられているタグでおおよその年代を判別してみたいと思います。刻印と違い、タグでは大まかな範囲での判別ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。
1930年代~1940年代製:通称 初期ハンタータグ:緑色のタグで下から太陽が昇り、白塗りのハンターの刺しゅうが左側に立つデザインです。RED WING BOOTSの記載があります。
1940年代~1950年代・通称 後期ハンタータグ:前タグと仕様自体はあまり変わりませんが、後期はハンターの刺しゅうの描写がリアルになっています。
1950年代・通称 紺タグ:紺色の四角い刺しゅうロゴのみのデザインになりました。ここからRED WING SHOESの記載に変わります。
1960年代~1970年代・通称 USA表記なしプリント羽根タグ:白地になり見覚えのあるデザインになりました。MADE IN U.S.A.の表記はまだなく、いわゆるプリント羽タグです。
1970年代後半~1980年代・通称 USA表記ありプリント羽タグ:デザインは前タグとほぼ変わりませんが左上にMADE IN U.S.A.の表記が入るようになりました。
1990年代中頃~2003年頃・通称 刺しゅう羽根タグ:記載内容は変わらずにプリントから刺しゅうに変わりました。
2003年~現行・通称 縦長タグ:初期はプリントでしたが現行品は刺しゅうになっています。現行タグという方が聞きなじみがあるかもしれません。アイリッシュセッターカテゴリー内のタグも、この時期頃から羽根タグに移行していきます。
アイリッシュセッターモデルのタグの種類と年代
1950年代中頃~1960年代前半・通称 刺しゅう犬タグ:刺しゅうで入った四角型の犬タグ。875モデル最初の記念すべき犬タグです。
1960年代~1970年代前半・通称 白四角犬タグ生産国表記なし:刺しゅうからプリントに変わりました。当時は海外での販売はしていなかったため、原産国表示などもない非常にシンプルなデザインでした。※後にこのタグで復刻されたモデルもありますが、このタグとは別に現行タグが付けられています。
1970年代前半~1980年頃・通称 白四角犬タグ MADE IN AMERICA表記:右下にMADE IN AMERICAと記載が入ります。この頃はUSA表記ではありませんでした。
1981年~1990年代前半頃・通称 旧プリント四角犬タグMADE IN USA表記:81年からMADE IN U.S.A.に記載が変わります。このタグは後の時代にも類似したタグで登場しています。
1990年~1991年頃・通称 初期半円犬タグ:スクエアから半円になった最初のタグです。タグ内が白みがかった色でレジスターマークが入り、下部にRED WING SHOE CO、上にMADE IN U.S.A.と記載されています。ここから1年少々のみの生産が続き、ロット数も非常に少なくかなり希少になっています。
1991年・通称 裏半円犬タグ:こちらも前タグ同様1年のみ生産されました。白みがかっていたタグの色が黄色くなりベロの裏に付けられています。RED WING SHOE CO、MADE IN U.S.A.の記載は残ります。
1992年・通称 表半円犬タグ:タグがベロの裏から表につけられます。この時代からRED WING SHOE CO表記が半円タグから消えました。よりシンプルになった印象です。
1993年・通称 旧半円犬タグ:とうとうMADE IN U.S.A.の表記すらなくなり、黄色がかったタグの色味が少し薄くなってアイリッシュセッターのみ残る形となりました。
1993年中頃~1996年・通称 半円犬タグ:薄くなっていた色が再び黄色がかるようになり、MADE IN U.S.A.表記も復活しました。この辺りが半円犬タグとして最も多く生産され、流通しています。併せて1994年頃までアンクルサイドに製造年や工場番号などが刻印され、それ以降はベロに品番や製造年が入れられるようになりました。
1996年~1997年・通称 犬刻印:875が登場当初からカラーリングが大幅に変わってしまい、元の色に戻そうという動きからフルモデルチェンジをし、このサイドの特徴的な刻印が押される仕様となりました。残念ながら当時の日本ではあまり人気は出ず、販売されたロット数も少なかったため現在逆に希少性が高まり人気が出ています。
1996年~・通称 表四角犬タグ:ここから再び四角タグに戻ります。復活した当初のタグ位置はベロの表側になっています。以前との違いは、タグの中央右側にあったMADE IN U.S.A.表記が右上の枠ステッチに干渉するほど近くまで移動しています。
1997年~1999年前半頃・通称 裏スクエア犬タグ:96年~の表四角犬タグと全く同じデザインですが、タグがベロの裏側につくようになっています。※ここから作りは同じものの、アイリッシュセッターがクラシックワークというよく目にする現行のモデル名に変更されました。
1998年~2000年頃・通称 縦刺しゅう羽タグ:白い刺しゅうの羽タグですが、この時代はタグが横向きで縦についています。
1999年中頃~2003年前半・通称 刺しゅう羽タグ:オーソドックスなデザイン。オールドの紺タグとデザインが似ており、ベロ裏についています。※03年中頃~・現行タグについては前述があるため割愛いたします。
おまけ・100周年記念モデルタグ:創立100周年を迎えたレッドウィング社の記念モデルとして、2005年(細かくは2004年)に登場した2005足限定の8283というベックマンベースの希少なモデルのものです。シリアルナンバーとともにタグに記載されています。今後も節目のタイミングで登場するであろう記念モデルが楽しみですね(画像のシリアルナンバー799/2005)。
2023年現在、1990年代ストリートのリバイバルブームにより再注目されているアメカジ。ヴィンテージデニムやバッファローチェックなど懐かしのキーワードが並ぶ中、タフなブーツもガゼン注目を浴びています。日々、買取査定を行うなかでも王道アメカジの象徴ともいえるレッドウィングの存在感はやはり別格だと感じています。今一度、アメカジに魅かれる若者たちやリアルタイムを生きた人たちにもレッドウィングの魅力を伝えていきたいと思っています。
すぐ買い換えられる現代において、メンテナンスや修理をしながら長く大切に履いていける、あなただけの1足を見つける手伝いができますように。