加水分解とは
スニーカーなどの合成皮革製品に限らず、スポンジなどの日用品にもよく使用されているポリウレタン。 一般的な合成皮革は、基布となるマイクロファイバー(布)の上に、ポリウレタンや樹脂が層のように重なっています。 加水分解の原因は、このポリウレタンの層が空気に触れ微量の紫外線や摩擦熱に敏感に反応することで起こります。
スニーカーのソールにはブランドによって様々ですが、クッション性を高めたミッドソール部分には主にEVAスポンジやポリウレタンスポンジ素材が使われています。
ともに1970年代頃から使われているもので今も現役で使用されている素材です。
EVAスポンジは熱や薬品などに弱く、べたつきが現れたり崩れたりするのはポリウレタンスポンジ素材です。
加水分解とは化学的反応のことで、ポリウレタンが水分に反応し分解生成物が得られる反応のことを指します。
症状例
ミッドソールの硬化が進み、亀裂、破損に繋がったり、合成皮革にべたつき、剝離が進行している状況です。
こうなってしまうと正直、履き続けることは難しいです。
予防、対策
- 木製のシューキーパーで水分量を調整する
- 黄ばみ防止剤、シリカゲル乾燥剤などで変色予防する
- ラップやフィルム、プラスチックの袋で真空パック保管する
普段のメンテナンスはブラッシングと2~3週間に1度防水スプレーで保護しましょう。
防水スプレーは2~3週間に1回ほど靴全体に吹きかけます。ただし注意点があり、ナイキのエアマックスなどソール内に空気を入れたエア部分は、頒布すると曇ってしまうため避けて行いましょう。
履いた日は付着した汚れを定着させないために、ブラシで磨くことが大切です。落ちていない汚れの上に汚れが積み重なり、落としにくくなってしまいます。
ポリウレタンソールの劣化は避けられませんが、出来るだけ長く状態を維持して履くことは可能です。基本的に履くことが1番の予防策です。履かずに対策をせず放置しておくことが1番よくありません。べたつきの出てきた合成皮革箇所はアルカリ性洗剤などでおおよそ除去できますが、表面の質感や色合いなどが変わってしまうこともあるため細心の注意が必要です。
豆知識
ニューバランスでは[ABZORB®]、[ENCAP®]、[C-CAP®]というクッショニングテクノロジーがあり、どのテクノロジーが搭載されているかで将来的に加水分解するのかしないのかを把握することができます。
・ABZORB®(アブゾーブ)
PU素材を使用した衝撃吸収と反発弾性を備えたクッショニング素材。※加水分解に注意。
・ENCAP®(エンキャップ)
PU素材とEVA素材によるクッショニングテクノロジー。※PU素材を使用している為、加水分解に注意。
因みにPU素材の中に埋め込まれているEVA素材は加水分解を起こしにくい素材です。
・C-CAP®(シーキャップ)
EVA素材を圧縮成型した素材。※ベースがEVA素材の為、加水分解を起こしにくいです。
New Balanceのスニーカーを選ぶ際の目安にしていただけると幸いです。