・茶芯とは
茶芯とは、文字通り革の芯が茶色い事を意味しています。元になる革の染色により茶色にはならない革も当然存在します。簡単に部類分けすると現行のブラッククロームは芯まで黒く染まっており、その前の物は芯まで染めてない黒色です。そして茶芯と呼ばれるものは茶色い芯まで染めてない黒色という事です。少しややこしく感じますが、芯まで染まっているか、そうでないかで解釈できると思います。
90年頃まで存在していた茶色い芯の黒い革は、履き込むことによる擦れや日焼け等で染色面下の茶色が現れてきます。
現行の芯まで染めた黒い革は、擦れや日焼け等で退色しても、黒に近い灰色にしかならないため、茶色になる事は殆ど望めないものとなっています。これがいわゆる灰芯と呼ばれているものです。
Q:茶芯かそうでないか見て分かるものですか?
A:正直なところクロームレザー製モデルは茶芯として発表されていないものがほとんどのため判断は難しいと思います。
クラシック担当者は裁断面やエイジングの状況によってある程度のボーダーラインを設け、茶芯というワードを出すか出さないか決めています。
茶芯は扱い方ひとつで劇的なエイジングとなるため、ヴィンテージ好きなファンが多くなっている印象があります。
現在では茶芯を意図的に出せるように作られたクロンダイクレザーももちろん人気がありますが、過去のモデルで茶芯の個体があるとレッドウィングマニアは無視できないでしょうw
製造工程、エイジングによって偶然にも見出された茶芯、灰芯という付加価値文化は今後もレッドウィングの人気を過熱させる一つの基準になっていくだろうと感じています。
茶芯、灰芯を選別することは普段買取査定を行う上でも正直難しいのが本音です。裁断面で一目瞭然な個体も存在しますが、取り扱う人の裁量で意見が分かれるだろうと感じています。
ボーダーラインが曖昧なこともあり、90年代以降のもので革が厚いものは茶芯、灰芯に該当するなどと言われることもあったりしますが、80年代のものでも灰芯は存在しており、90年代以降のものにも茶芯は存在しています。
・クロンダイクレザー
日本市場では1980~1990年代にかけて、本国アメリカにはないブラックレザーやラフアウトレザーなど様々なレザーのアイリッシュセッターが日本企画で開発され、当時若者に大いに愛された歴史があります。
そうした経験を持つ日本市場からの熱い要望を受け、1950年代後半~1960年代初頭にかけて使われていた刺しゅうによるアイリッシュセッタータグを縫い付けた、かつての875を彷彿とさせる9875(ゴールドラセット・セコイア)が発売され、その翌年には茶芯のブラックレザーであるブラック・クロンダイクの9874が登場しました。ブラック・クロンダイクはブラウンの芯地の上にブラックの塗装を施した、1990年代まで存在していた伝統的なブラックレザーのつくりを再現した茶芯レザーで、履いていくうちにキズや摩擦の多い部分から黒い塗膜下の茶色い芯地が見えるという独特の経年変化をあえて楽しめるレザーです。
- 裏地、内側や断面が茶色
- 他レザーに比べて革質が硬め
- クロームレザーより高額
- 水や汚れに強い
- 確実に色落ちして芯の茶色が見える
- 茶芯を目的とした工程で作られている
- めちゃ格好良い
- キズができてもさほど気にならない
- ほとんどが復刻モデル
・クロンダイクレザーの手入れ
クロンダイクは銀面の塗膜により、オイルが乾きにくい分、頻繁なオイル補給は必要ないのが特徴です。クリームで磨くことにより艶を増すことも可能です。キズなどをカバーし、補色をしながらメンテナンスできますが、茶芯レザー且つ、キズや塗膜の擦れが深い味わいとなるタイプのレザーのため、あえて自分だけの経年変化を楽しむ履き方の方がこのレザーを堪能できます。
・クロンダイクレザー製モデル一例
ブーツを育てると言われるように、エイジングで自分だけの特別な1足に成長させていくのも楽しそうですよね。時代に流されない格好良さを味わう…。そんなマイブーツに出会えますように。