今年の4月に映画化されたことでも話題となったエアジョーダンですが、発売から30年以上経った今でも多くのスニーカーヘッズを熱狂させている、まさにスニーカー界のトップと言っても過言ではない一足。今回はそんなナイキの定番モデル、エアジョーダン1の歴史や魅力、意外と知らない豆知識などをご紹介していきたいと思います。
そもそもAIR JORDAN(エアジョーダン)ってなに?
“バスケットボールの神様”として知られている、“Micheal Jordan(マイケル・ジョーダン)”のシグネチャーモデルとして、1985年に登場したバスケットボールシューズ。今でこそ彼の名前を知らない人はいないほど有名な選手ですが、1984年当時はまだプロとして活躍していないルーキー選手でした。そんな彼をナイキがいち早く見つけ、1年25万ドルという破格の契約金(当時のスター選手で10万ドル程)と、当時は珍しかったシグネチャーモデルの製造を持ちかけ、見事に契約を勝ち取ったといわれています。
そこで開発されたのが”エアジョーダン”ですが、この名前にはジョーダンの高いジャンプ力と滞空時間の長さから付けられた”エア”というあだ名と、ナイキが独自開発したソールの“エアクッション”を用いたモデル、という2つの意味が込められています。
実はマイケル・ジョーダンはもともとアディダスと契約をしたかったらしく、ナイキと契約するのをとても嫌がっていました。彼自身、大のアディダス好きだったため、ナイキとの契約の話し合いに行く飛行機に乗るのも嫌がっていたほどで、彼の母親に説得されて渋々ナイキ本社へと向かったそうです。
もしここで向かっていなかったら…と考えると、スニーカー好きの僕としてはちょっと恐ろしすぎるので止めておきます。
人気の理由
エアジョーダンには逸話があり、それをきっかけに爆発的な人気を得たといわれています。当時のNBAでは「白基調かつユニフォームに合ったカラーリングを着用しなければならない」といった規則があり、ブラック×レッドのエアジョーダンは規則違反で禁止されていました。しかし、ナイキ側がペナルティの約5000ドルの罰金を肩代わりしてまで、マイケル・ジョーダンはシューズを履き続けて試合へ。そしてナイキはその規則違反を逆手に取り、”NBAはジョーダンにシューズの着用を禁止したが君たちが履くことを禁止できない”とCMで宣伝、それをきっかけに爆発的な人気を獲得していきました。
実は!このNBAの規約違反の話には嘘だったのでは?という説が出ているんです…
というのも、当時の写真を見返してみるとNBAオールスターのダンクコンテストや、非公式の試合などでしか着用していた記録しか残っておらず、公式戦で使われていた記録がないんです。
また、1984年のデビューシーズンにはAIR JORDAN 1が開発段階だったと言われており、実際に履いていたのはAIR JORDAN 1 によく似たAIR SHIP(エア シップ)だったんです。
もしこの話がナイキ側によって作られたものだとしたら、計画的な宣伝だったのでしょうか…恐るべしナイキ…
ナイキのカラーモデルにはそれぞれ名前を付けられることが多いのですが、このブラック×レッドのカラーモデルは、ブラックとレッドを合わせた”BRED(ブレッド)”という名前と、当時のNBA側から使用を禁止されたという背景から禁止という意味の”BANNED(バンド)”と呼ばれています。
その後、ナイキ側がNBA規則に則ったカラーリングとして、かの有名なCHICAGO(シカゴ)などのカラーリングが誕生し、マイケル・ジョーダンとともに数々の伝説を打ち立てていきました。
AIR JORDAN 1 の魅力
◆多彩なカラーバリエーション
リリース当初から現在までの約30年以上で、数多くのカラーモデルをリリースしてきたエアジョーダン1。マイケル・ジョーダンが所属していたチームカラーをあしらった”CHICAGO(シカゴ)”をはじめ、BREDのレッド部分をブルーに変更した”ROYAL(ロイヤル)”や、つま先のカラーにブラックを用いた”つま黒”など、それぞれのカラーに名称がつけられています。
◆様々な素材
エアジョーダンには通常のレザーの他に、光沢のあるパテントレザーを使用したモデルや、デニム生地を使用したモデル、通常のエアジョーダンの廉価版としてリリースされた、キャンバス素材を使用したモデル(AIR JORDAN 1 KO)など、多種多様な素材を用いているため、履き心地や安定性、デザインなどを楽しむことができるのも魅力の一つとなっています。
◆圧倒的な入手困難さ
新しいカラーや復刻、コラボモデルがリリースされるたびに争奪戦となるため、ものの数分で完売してしまうことが少なくありません。それによって価値が高くなり、ほとんどのモデルがプレミア価格で取引されています。高いものによっては数百万円で取引されるほどのプレミアが付くことも少なくありません。そんな争奪戦を制して勝ち取った時の興奮と優越感はもはや魅力と言っていいのではないでしょうか。
ただ、購入できなかった時の喪失感は計り知れません…
◆3種類のカットモデル
エアジョーダン1には馴染みのあるハイカットモデルの他に、ミッドカット、ローカットが存在します。それぞれのモデルで違った魅力があり、モデルに合わせたコーディネートができます。
ミッドカットは、大まかなディティールは変わらず、変更点と言えばシューホールが8ホールになった点(ハイカットは9ホール)と、ハイカットには使われていなかったジャンプマンロゴがシュータンに使用されている点です。
ローカットは、デザインが大幅に変更されており、特徴的なサイドのウイングロゴがヒールへと変更されています。シューホールも8ホールとなっており、コンパクトで合わせやすさ抜群のデザインとなっています。
◆コラボレーションモデル
エアジョーダン1をモデルにしたコラボは歴代でも多数リリースされており、そのどれもがそれぞれのブランドの良さや特徴を融合させ、今までになかったディティールとなって登場しています。リリースされたどのモデルもプレミアが付いており、定価の10倍以上の価値が付いてしまうものもあるので、もちろん履くのも良いですがコレクションの一つとして飾って観賞するのも楽しみの一つです。また、発売情報などに追われ一喜一憂してしまうのもそれはそれで魅力の一つかもしれませんね。
デザイナーである”Virgil Abloh(ヴァージルアブロー)”の手掛ける“OFF-WHITE(オフホワイト)”とのコラボでは、彼の世界観や独特な手法で新たなエアジョーダンへと変貌したデザインとなっています。エアジョーダン以外のダンクやエアフォース、エアマックスなどのコラボモデルも多数リリースされているので、気になった方は是非チェックしてみてください。
アメリカで圧倒的な人気を誇るアーティスト“Travis Scott(トラヴィス・スコット)”とのコラボモデルは、これまでのナイキの常識を覆すような、サイドにあるナイキロゴのスウッシュを逆向きに配置する、というデザインでスニーカーヘッズを熱狂させました。
今回はエアジョーダン1についてご紹介させていただきましたが、発売から何十年も経った今でも多くの人に履かれ、常にスニーカー界の中でトップに在り続ける所以など、知れば知るほど魅力的ですよね。エアジョーダン1の歴史や魅力などを知ったうえで選んでみると、今までとは違った視点から選ぶことができるかもしれませんので、是非一度履いてみてはいかがでしょうか。